公益社団法人太田青年会議所 2021年度 理事長基本方針

公益社団法人太田青年会議所 2021年度 理事長基本方針

第57代理事長 原田 正浩

 令和元年台風第19号で被災し、それも冷めやらぬ令和二年、新型コロナウイルスの世界的流行。日本全体を襲う度重なる災害は、私たちを暗闇の中に突き落とし、未だ先の見えない状態が続いています。悠長に漠然と変革を謳い、楽観的に物事を考えている企業や団体は生き残ってはいけない。そんな現実に直面し、生活様式をはじめ様々なことに対して、いやおうなしに変化を求められる時代にある中で、変化に振り回され、混乱することなくしっかりと時代に適応していかなくてはいけません。困難な選択に迫られ、一人ひとりに緻密な解答が求められています。不安定な状況下では、解答次第で、動もすれば一気に崩れがちです。
 そんな時代だからこそ、みんなが太田青年会議所の根幹に立ち返ってはいかがでしょうか。太田青年会議所の目的は、青年の英知と勇気と情熱を結集し、事業や活動を通じて、会員や地域の資質を向上させ、明るい豊かな社会を実現することにあります。
 より一層太田青年会議所を正しく理解し、積極的に関っていくことが窮地を脱する道しるべになるのではないでしょうか。

【人からはじまる】

 太田青年会議所の目的の第一歩は、青年が集い、様々なことを分かち合うことです。つまりは、人との繋がりがまず、この組織の根幹にあるということです。太田青年会議所の会員は、職種も役職も様々です。そういう会員が集まり、同じ志をもって活動することで、職場や友人、家族とは違った魅力を帯びた関係性が得られます。例えば、単なる友人関係であれば、一緒に行動し、遊ぶことは純粋に楽しいかもしれません。もし価値観が合わなければ、付き合い自体を見直すこともあるでしょう。ですが、この組織は、今まで付き合ったことのないような様々な人たちと積極的に関わり、活動していくことが特徴です。そこには、物事の捉え方、着眼点のような様々な価値観が存在します。選り好みせず触れることで相対的に自分を見つめなおすことができ、そこから学びや気付きが必ず得られます。太田青年会議所は、全ての会員が40歳で卒業です。限られたこの間にどれだけの人と真剣に関われたかで、その人とその人の周りの未来が変わってくると言っても過言ではありません。出会い一つひとつを常に大切にしていきましょう。
 そして忘れてはいけないのは、この組織は成長に重きをおいた団体であるということです。多くの人が成長することで、地域をより良くすることができる人が増え、それは地域発展へと繋がるという考えに基づきます。会員一人ひとりが組織に身を置き、成長しようという気概をもち、向上心や意識を高く持たなくてはなりません。人は人で磨かれると言いますが、相手に対して真剣に向き合ってこそ、お互いの人間性が輝いていきます。高い水準で切磋琢磨することが重要です。また、この時代の中で、輝きを放ち続ける人間であるということは簡単ではありません。常にその時代や背景、環境など全ての事象を考慮し、冷静に分析し最適解を見出すことが理想であり、判断を求められる局面において、一つの視点に囚われずに、いかに複眼思考できるかが鍵となってくるはずです。知識を得ようと求めれば、今の世の中、簡単に手に入ります。そういった表面上の知識ではなく、時代を見通した先進的な、様々な優れた見識を持つことが重要です。見識をもとに高度な思考をし、多くの人と共有し推し量れば、多角的な視野を手に入れることができ、効果的に知識を広め、先見することができるようになります。これを私たちだけでなく、地域へと広められれば、時代に飲み込まれず、地域はもっと輝き続けるはずです。時代を生き抜く糸口がきっとあるはずです。

【本質を追求せよ】

 青年会議所という名の通り、私たちのこの組織は会議がその中心にあります。しかし、昨今の世界情勢により、世の中が新しい生活様式や在宅勤務を推し進めていくように、会議体の変化をこれまでよりも強く求めなくてはいけない状況となりました。これを不運とし、今までの在り方にいつまでも固執していてはなりません。本質を見極めて、新しい時代を迎える好機です。そこで、本質とは何なのかを皆さんには追求していただきたい。
 その手立てとして、実際に会うことをこれまで以上に大切にしてみてはどうでしょうか。会うことは一見非効率ですが、会う価値があるとお互いが判断したからこそ実現したことであり、だからこそ事前準備や要点を整理し、これまで以上に時間を大切にしていかなくてはならないはずです。会うことが、情緒的な作用を見出しやすいように、無駄と感じることにも意外と意味があります。もちろん、時代に即した情報通信技術を効果的に取り入れ、合理化することも重要です。使い分けを私たちで思慮し、これからの新しい基準をつくり出していくことができれば、信頼を蓄積することができるのではないでしょうか。そして、この組織全体が新しい基準のもと、しっかりと活動できるようになれば、地域やまわりの人たち、行政や他団体といった多くの方に、もっと評価されることになるでしょう。日本や世界にさえ挑戦することだって、できるはずです。不安定な時代の流れは想像以上に目まぐるしい、後戻りはできません。

【未来を創る】

 新型コロナウイルスの流行により、公衆衛生の観点から私たち国民一人ひとりが安全について必然的に意識し、余儀なくされた自粛生活。いつ終息するかもわからず、未だ感染拡大という危険と、隣り合わせの状態です。私たちの生活は一変しました。しかし、それは悪いことばかりではありません。家族と向き合い、考える機会が増えたという人も多くいるのではないでしょうか。そんな中でも前向きに柔軟に生きている子どもたちの逞しさに触れた時、未来はきっとたくさんの希望に満ち溢れているという確信さえ感じます。
 こんな時だからこそ、生きる力の醸成と注いできた情熱と経験をもとに、新たに時代に即した運動を未来のために展開すべきではないでしょうか。時代を考慮し、子どもたちと世代を超えて、若者や大人が積極的に関わっていくことで、それぞれの新しい気付きや成長、学びに繋がっていくと考えます。それは、子どもたちにとっては学校で学べないことであったり、若者にとっては同じ世代の友人からは得られないことであったり、さらに大人にとっては、固定概念とは違った多様性であったりします。そこから、苦難を乗り越える術がきっと見えてくることでしょう。
 また、子どもたちを取り巻く環境には様々な労働形態や家族形態があります。会社以外の遠隔の場所で業務を行うリモートワーカーや私たちの生活に必要不可欠な労働者であるエッセンシャルワーカーなど形は様々です。そんな方々に太田青年会議所が寄り添い、私たちにしかできないことで働きかけ支援していくという側面は非常に重要な役目だと考えます。そこに太田青年会議所の存在意義があるはずです。それぞれが相乗的に関係しあうことで、子どもたちやその周りの人たち、若者や大人、そして地域にとって素晴らしい未来が創っていけるはずです。

【JAYCEEであれ】

 JAYCEEであることを皆さんはどう感じているでしょうか。在籍年数の少ない会員の割合が増えているという事実、そして会員数が減っているという事実からもJAYCEEということに一人ひとりが向き合う必要に迫られています。JAYCEEと真剣に自負できる会員が少なければ、その組織は衰退していくことになるでしょう。なぜならば、青年会議所会員としての価値がなくなるということに直結するからです。価値がなくなれば、誰も寄り付かない組織になりかねません。
 そもそも、なぜJAYCEEでなくてはいけないのでしょうか。それは、JAYCEEであるということは、JCプロトコルのように組織論や精神論を通じ、社会を生き抜くための社会規範の基本を理解するということになるからです。これまでの長い歴史の中で培ってきた知識や伝統に裏打ちされた基本を持つということは、社会において応用が利くようになり、柔軟な発想ができることに繋がります。基本がなければ、突拍子もないことをやりかねないでしょう。しかし、闇雲にそれらを詰め込むのではなく、しっかりと時代に合ったものを選定して、活かしていかなければなりません。そのように基本を正しく理解し、JAYCEEだという強い気概と誇りを持って活動する会員が増えれば、活動にも張りが生じ、会員一人ひとりの質が向上します。そして、全会員をもって太田青年会議所の魅力向上に繋げていけば、多くの人から求められ、より地域に愛され根差した組織になることでしょう。
 私は入会当初は決して、強い気概を持って活動していた訳ではなく、むしろ惰性的に後ろ向きに活動していました。だからこそ、色々な視点に立つことができると思っています。結果として、もっと早くに太田青年会議所に真剣に関わっていれば良かったと思う部分が強く、そのことをより多くの人に伝えていきたい。どうしようもない自分を変えてくれた、この組織の魅力を誰よりも感じている会員の一人であると思います。
 そして、巡り合わせや宿命という言葉がありますが、太田青年会議所はそんな言葉を信じてみたくなる組織です。私を変えてくれたのは、利害関係なく、価値観が違う中でも強固に結び付いた、人です。すべての出会い、出来事に意味があると思えてなりません。その一つひとつに目を背けることなく、これからも活動していきます。皆さんも、一緒にやっていこうではありませんか。そこから始まる明るい未来はきっとあるはずです。

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