公益社団法人太田青年会議所 2020年度 理事長基本方針

公益社団法人太田青年会議所 2020年度 理事長基本方針

第56代理事長 塚本 将成

 創立55周年を迎え新たなステージへ向かい歩き始めた太田青年会議所。20歳から40歳までの限られた時のなかで何を得ることができるのかは、すべて自らの行動によります。 時間は誰にも平等に過ぎ去っていくものです。人生という選択の連続のなかで、時に迷い、喜び、怒り、涙したことは誰しも経験のあることではないでしょうか。あの時こうしておけばよかった。もっと何かできたかもしれない。ただ、どんな経験でも自分自身の成長に繋がっているはずです。JCにおいても、入会した理由はそれぞれ多種多様なものでしょう。その理由がポジティブであってもそうでなかったとしても、入会することを選んだからには必ず何かを得ることができるはずです。私自身、色あせることない経験やかけがえのない友を得ることができました。「一度でもいい」「今一度」「今年も」精一杯JC運動に取り組む。太田青年会議所が存在する意味、得ることのできる何かは、そんな姿勢の中から明確に姿を現してくるものです。

【未来を見据えた組織】

 近年、スマートフォンやSNSの普及による情報通信における環境の変化など、太田青年会議所を取り巻く環境もここ数年で著しく変わってきています。お金や時間の使い方、メンバー同士のコミュニケーション、それぞれの価値や考え方の差が広がっているように感じます。だからこそ今を転換期と捉え、時代に合わせて私たちも変わっていく必要があるのではないでしょうか。慣例や伝統よりも実利や効率を求める声が大きくなっています。しかし、56年間受け継がれてきた組織運営、熱い議論を重ね生み出される事業、それに携わる人、これまでに積み上げられた信頼と実績は確かにそこにあります。変えてしまうことは簡単です。しかし、一つ一つのことには必ず意味があります。それらをしっかりと理解した上で、変えるべきことは大胆に変え、守るべきところは堅実に守っていく。様々な観点から先入観に捉われずに進めなければなりません。未来永劫に強く、たくましく太田青年会議所が輝き続けていくために。
 太田JCという組織を知っていらっしゃるか、一般の方に尋ねてみると、別の団体名で認識されていたり、存在を知らなかったりされている方も多いです。地域のために、家族とのふれあいや欠かせない仕事の合間を縫い、多くの時間を費やしているのにも関わらず、このままの認知度でいいのでしょうか。目立つことがすべてではありませんが、地域に根差した運動をしていく上で認知度が高いことはマイナスにはなりません。また、所属する私たち自身が、誇りを持って太田青年会議所の運動に邁進していく原動力にもなりえます。各種関係諸団体や県内外のLOMに対してはもとより、一人でも多くの人達に太田青年会議所のことを知っていただき、揺らぐことない信頼と誰からも一目置かれる存在となれるよう積極的なパブリック・リレーションズを行っていきましょう。

【成長の連鎖】

 JCの三信条「奉仕」「修練」「友情」。奉仕は他に対しての趣が強く、修練と友情は個に対して強く関わってきます。「最後の学び舎」と言われるJCだからこそ、研修という学びを経て、信頼されるリーダーへ成長すると共に友情も育めるのです。頼りにされる人、それは相手の心を慮れる人ではないでしょうか。心の働きを考慮し接すれば、自ずと信頼関係がつくられていきます。誰からも頼りにされるようなリーダーを目指しましょう。そして、学びの中から育まれた友情は、ただの友人ではなく、腹を割って心の内をぶつけられる仲間と呼べる絆をつくり出します。そんな仲間ができる団体がJCです。会社の大小、学歴、経歴、年齢にかかわらず友となれる。苦労と喜びを共にする同じ釜の飯を食う仲間はひときわ仲良くなれるものです。ただ、それは一朝一夕でつくれるものではなく、どれだけ多くの交流の機会をもてるかによります。成長と同時に多くの仲間にも恵まれる。そんな機会を共に体験しましょう。
 自分が成長することで、関わる人の成長にも繋がる。明るい豊かな社会の実現のために必要なのは、自身の成長だけではなく、いかに地域の方々にも成長の機会を提供できるかです。JCの例え話に「ゴミ拾い」というものがあります。「ごみを拾うのもJC」「ごみを拾わせるのもJC」「ごみを捨てさせない社会をつくるのもJC」。どんなに成長しても、私たちの力だけでは地域への影響は微々たるものです。これまでに積み重ねてきた経験をいかに還元できるのか。特に未来を担う若い世代の育成は地域の成長に不可欠であり、前を走る私たちに課された使命と言えます。地域の発展のためにも、次世代を担う人材の育成に努めていきましょう。

【地域に幸あれ】

 幸せとは何なのでしょうか。家に帰ると迎えてくれる眩しい子どもの笑顔、厳しい状況を乗り越えた仕事の達成感、日々の忙しさを忘れられる趣味の時間、その基準は個人によって異なるものでしょう。隣の芝生は青く見えるものです。自分は恵まれていないと感じるかもしれませんが、別の誰かからしてみれば十分に幸せに見える場合もあります。「奉仕」を信条に掲げるJCだからこそできること、困っている人がいたら手を差し伸べる。今ある自分の幸せを噛み締め、他の誰かのために時間を使う。大規模なまちづくりも大事ですが、困っている人を助けるような地に足の付いた活動もこの地域をより輝かせるために必要な一つの方向性です。
 また、まちづくりは一人ではできません。多くの賛同者を得るためにも、地域への愛着を持つ人を増やすことは必須の課題といえます。この地域には、多くの魅力が存在していますが、普段それを意識していない人はその魅力に気づくことなく日々を過ごしているのではないでしょうか。誰もが潜在的には地域への愛着を持っているはずです。普段はそんなことを考えていなくても、いざこの地域を他の人から中傷されればどう思うでしょうか。きっかけは何でもいいのです。私たち自身を含め、まずは地域に対して意識をもつことから始めましょう。意識することで関心が芽生え、一人でも多く愛着を持つ人を増やすことができれば、それが大きな流れとなり、より意義のあるまちづくり事業の礎となっていくことでしょう。まちづくりはJC最大の力の見せどころです。これまでに積み重ねた経験や知識を遺憾なく発揮し挑戦していきましょう。そこで得られる成果によって、誰からも愛される魅力ある地域になると信じて。

【太田青年会議所正会員】

 JCの習わしについて疑問を持ったことのあるというメンバーも多いのではないでしょうか。「なぜそんなことをする必要があるのか」。一つ一つに意味があるとしてもそれを知らなければ、疑問に思うことも仕方のないことです。どんなに素晴らしい事業を行うにしても、その担い手がしっかりと目的を理解していなければ効果は最大限発揮されません。それと同様に、JCに所属しているメンバーがいかにJCのことを理解してくれているのかは非常に意義のあることです。特に入会して間もない時期は気持ちも移ろいやすく繊細なものです。だからこそ一方的に知識を詰め込むのではなく、対象にあわせた臨機応変な研修を行うことが重要です。また、活動環境の改善や各種規定についてもよりメンバーが積極的に活動に参加しやすくなるよう考えていく必要がります。まずは自分たちの周囲の環境を整えつつ新たな仲間を増やしてきましょう。
 そして近年、在籍年数の若いメンバーが増えています。それを課題として捉えるのではなく、チャンスとして捉え、しっかりとしたJAYCEEとしての知識を学んでもらう機会をつくることで、「歴の若いメンバーは新たに」、「歴の古いメンバーは改めて」誇りを持ってJC運動に励むことができるよう共に研鑽していきましょう。

 この社会は人と人で構成されており、家庭で、職場などで良好な人間関係を維持することはとても大切なことです。「なんで理解してくれない」。「こんなにしてあげたのに何故」。価値観は人によって千差万別です。自分にとって普通のことが相手にとってはそうでないこともあります。そんなときは自分自身の立ち振る舞いも含めて見つめ直すのもいいでしょう。人と人との繋がりを学ぶ場としてこの太田青年会議所は打って付けの場所なのです。自分と向き合いながら一年間積極的に活動して参りましょう。その先に生まれる水のひとしずくが、地域を動かし輝かせるための波紋となることを信じて。

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